パン作りに欠かせないのがイースト。
一口にイーストと言っても、天然酵母、インスタントドライイースト、生イーストなど種類は色々。
そこで、天然酵母とドライイースト、生イーストの違いとそれぞれの使い方やメリットデメリット、仕上がりの味の違いなどを詳しくまとめました。
酵母とは イーストとは
まず「酵母」と「イースト」の違い。
これは英語が日本語かの違いで、「酵母」の英語がイースト(yeast)です。
パン作りにおいては、酵母もイーストも、同じものを指します。

「天然酵母」に対して「インスタントドライイースト」のことを『イースト』と呼ぶ人もいるけど、イーストとは酵母の総称なので、正しくはインスタントドライイーストですね。
そして酵母(こうぼ)とは、微生物の一種、分かりやすく言えば「菌」です。
もちろん食べても大丈夫な菌で、顕微鏡でしか見えないほどの小さな小さな生物です。
酵母となる菌は、食物と混ざることで食品の発酵を促します。

つまりパンが発酵するってことは、酵母菌が、砂糖や小麦粉を食べてどんどん成長して膨らんでいくってことね。

そうイメージすると分かりやすいね。
発酵の早さは、酵母の分量、酵母の強さ(生命力)、酵母の原料や種類、混ぜる材料、気温、湿度など環境によって違ってくるのよ。
天然酵母とドライイーストの違いは?
では、天然酵母とドライイーストの違いを説明しましょう。
天然酵母とは
天然酵母(てんねんこうぼ)とは、酵母菌が自然界で作られたものです。
工場などで特別な材料を使って作るものではなく、自宅にある食材で作ることができます。
この酵母液は、パンを作る直前に作ればいいわけではなく、酵母液に約3日~1週間、そこから中種を作るのに更に3日~5日以上掛かるので、天然酵母パンを作る場合は前もってこの酵母を培養しておく必要があります。
また、できた酵母は、使ったら継ぎ足していけるので、ずーっと使い続けることも可能です。

毎日または2日に1度くらい手を加えてあげないと、菌が死滅して腐敗たり酸味が強くなったりするので、滅多にパン作りしない場合は都度使い切る方がいいわよ。
あまり使わないという場合は市販の天然酵母もあります。
市販の天然酵母と言えばホシノ天然酵母や白神こだま酵母、あこ天然酵母などがあります。
ホシノ天然酵母パン種は、粉末状の種をお湯と混ぜて24時間ほどかけて生種を作ってからパン生地を作ります。
作り方は上記の商品ページに詳しく書かれていますのでご参考までに。
自分で1から酵母を作るよりは早い上に手間も省けるので、小分けパックを常備しておくと便利です。
そしてやっと酵母の準備ができたらパン作りができるわけですが、生地を捏ねてから焼き上がりまでは、インスタントドライイーストより時間が掛かります。
インスタントドライイーストとは
天然酵母に対して、インスタントドライイーストとは、粒状(顆粒の出汁の素やスープの素のような大きさです)で、インスタントつまり簡単にすぐに使えるイーストのことです。
単にドライイーストまたはインスタントイーストと表記されていることもあります。

呼び名の通りインスタントなので、前もって仕込む必要もなく、袋から出して直接強力粉などパンの材料に入れて使えるのよ。
インスタントドライイーストは、天然酵母に比べて発酵時間が短く安定しています。
開封したら一度で使いきらないといけないわけではなく、密閉して冷蔵庫で保存しておけば数か月は持ちます。
(あまりにも古くなったり保存状態が悪いものは菌が死滅することがあります。)
>>古いドライイーストは使える?
インスタントドライイーストの元の原料は天然界の酵母ですが、それを人工的に培養し乾燥させて製品化しているので、微量ながら乳化剤などの添加物が入っていることもあります。

ドライイーストはスーパーの食品売り場で見たことあるよ!日清のスーパーカメリアが棚にあったよ。カメリアと言えば強力粉のメーカーよね。

定番だね。他にも、サフ(赤・青・金)、フェルミパンなどがメジャーどころかな。
同じメーカーでも複数のイーストを製造販売していることもあるよ。
それぞれ膨らみ具合や香りが違ったりするので、作るパンの種類や好みで変えてみたり、味の違いを楽しむのもいいですね。
私はこちらのサフの赤いパッケージ、通称赤サフが気に入っています。
生イーストとは
天然酵母でもインスタントドライイーストでもなく、「生イースト」というものもあります。
生きたイーストの状態で、バターのような形で、粘土のような塊で売られています。
一般の家庭用ではなく、パン屋さん向けの業務用として作られているので、発酵力が強力でふわふわに膨らむものが多いです。

ちょっと使ってみたい気もするけど、保存期間は冷蔵庫で1~2週間程度と短いのね。これじゃぁよほど大量のパンを作らない限り家庭では使い切れないわね。

ざっくり計算してみたところ、生イースト500gパックだと我が家の家庭用オーブンで焼ける量の約50回分だったよ。
※生イーストを、インスタントドライイーストの重さの2.5倍の分量を使う計算です。

ってことは、2週間の賞味期限内に使い切ろうと思ったら、毎日オーブンいっぱい4回分パンを焼かないといけないね。そんなに食べれないよw
生イーストは通常のスーパーでは売られていないと思うので、どうしても試してみたい方はネットで買うと良いです。
殆どのものが500グラムで売られているのですが、こちらは100gの小パック。
それでも結構な量のパンが焼けます。
天然酵母とドライイーストのメリットとデメリット
天然酵母は自然界から作られた酵母、インスタントドライイーストは簡単に早く作れる酵母、生イーストは業務用、と大まかな違いが分かったところで、それぞれのメリットデメリットをまとめてみました。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
天然酵母 | ・添加物が無い ・自家製で作れる ・パンが日持ちする |
・発酵に時間が掛かる ・発酵時間が一定でない ・酵母の管理に手間が掛かる |
ドライイースト | ・発酵が早い ・発酵時間がある程度よめる ・イーストの保存期間が長い ・初心者でも失敗しにくい |
・添加物が入っている ・発酵が早いのでうっかりしてると過発酵になりやすい |
生イースト | ・発酵力が強く安定している ・ふわふわに膨らむ |
・量が多く日持ちしないので一般家庭では使い切れない。 |
天然酵母はマメに(できれば毎日)かき混ぜたりエサを足したりと酵母の管理をしないといけないので、あまりパンを作らない人には重荷ですね。
もちろんそれも楽しめたのですが、そのうち酵母に追われてプレッシャーになったので、今はドライイーストを使っています。
その点ドライイーストは、冷蔵庫で保存できますし、何か手を加える必要もありません。
思い付いたその日にパン作りに取り掛かれるので、天然酵母と比べるとかなりお手軽です。
天然酵母とドライイーストの味の違い
天然酵母とドライイーストで作ったパン、味に違いがあるのでしょうか。
はい。違います。
天然酵母で作ったパンの味と食感
味や触感は、パンの作り方や酵母の種類、工程にもよりますが、天然酵母で作ったパンは多少の酸味があります。
また、日が経つにつれ、酸味が増すこともあります。酵母が生きているから、パンが出来上がった後も変化していくんですね。
天然酵母の場合は、特にストレート法(中種を起こさず酵母液からパンを作った場合)に、その酵母の元になった素材の香りが出ることもあります。

例えば、バナナで起こした酵母ならほんのりバナナの香りが、レーズンで起こした酵母ならほんのりレーズンの香りがするよ。
また、もっちりどっしりと食べ応えのあるパンに仕上がるので、腹持ちが良いです。
ドライイーストで作ったパンの味と食感
反対に、ドライイーストで作ったパンは、生地が軽やかで、ふわふわです。
酸味はありません。
私は、ドライイーストで作ったパンの方が、芳ばしい香りがするように思います。
天然酵母では出ない香りです。
これこそがドライイースト独特の香りなのかも知れませんが、パンと言えばこの匂いだと思っているので。

作り方や好みもあるから、パンの種類や作る時間に寄って酵母を変えてみるのも楽しそう!

どちらが美味しい、どちらが不味いということはないからね。
でも子供や年配の方は、食べやすい、インスタントドライイーストの軽いパンを好むことが多いよ。
天然酵母とインスタントドライイースト、生イーストの違い まとめ
天然酵母とインスタントドライイースト、生イースト、それぞれの特徴と違いをまとめました。
各イーストの違いはこちら>>天然酵母とインスタントドライイーストの使い方 初心者向け解説
コメント